ヒューマン2.0

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)


年末に購入して、やっと読了しました。帯には、[ここにシリコンバレーで誕生した、会社に依存しない働き方がある。(孫泰蔵)](孫泰蔵氏はソフトバンク孫社長の弟)とありますが、そんなに大それた話ではないです。フリーランスシリコンバレーで多いという話であって、シリコンバレー以外でもフリーランスは多いですし、日本でも江戸時代の職人などは、今で言うフリーランスに当たります。 著者は現在、シリコンバレーに在住しているフリーランスコンサルタントで、本書の中ではフリーランスとしての働き方が書いてあります。


本書の前半はフリーランスアメリカ(シリコンバレー)に多い理由とシリコンバレーの生活が書いてあります。後半は、フリーランスとして生きていくうえで、必要な知識や経験、教訓が書いてあり、フリーランス入門という方がぴったりきます。


本書の内容は、
知識労働では製造業よりも個人の能力に依存していることが高く、労働生産性が一人一人によって大きく異なる。
・ビジネスのスピードが上がっている事とベンチャー企業は会社が小さいため、必要最低限の人材しか雇わない。またビジネスのスピードが上がった結果、会社設立当初のビジネス対象では利潤を上げることができないと判明した場合に、(会社が存続しようとする限り、)ビジネスの対象を変えることが多い。そのときに社員はたとえ優秀でもレイオフ(クビ)となる。
アメリカは仕事をコンポーネントに切り分けることが得意なので、日本のように全員が歩調を合わせて、話し合って仕事をする必要がない。そのため、個別の技術において高いスキルを持つフリーランスが活躍できる機会が多い。
と、言ったことです。 シリコンバレーの生活など日本ではあまり触れる機会がない情報も大量に入っていますので、シリコンバレーで生きたい人にはお勧めです。また、自分のスキルで生きたいフリーランス希望の人も業種、スキルを問わず、お奨めです。
本書は、アメリカには素晴らしい世界があるよと教えてくれます。技術者にとって快適な社会システムがあると語りかけてきます。私は、同じ知識労働の世界にいるので、シリコンバレーの世界をうらやましいし、目指すべき頂だとは思います。
しかし、自分のポテンシャルとポテンシャルを補う努力をいくらしても、シリコンバレーに大量にいるというスタンフォード大学やMITをでた人間と対等に渡り合うことは不可能だと薄々気づいているわけです。そんな、一山いくらの人材からみると、自分が生きている世界と向こうの世界の間には大井川とルビコン川が流れており、対岸に渡ることは難しそうです。